食品表示の行方

食品表示の所管が消費者庁に移管され半年が過ぎました。政権交代による政治主導の影響もあるのでしょうか。このところ、食品表示に関する制度がいろいろと動きをみせています。
1つは原料原産地の表示です。先月末に消費者庁が意見交換会を開催いたしました。意見の主張は大きくまとめると、@反対(原料切り替えなどで混乱するなど消費者にとっても利益はない。表示スペースがないなど)A賛成(国産品の産地をPRしたい又はそういった地元の生産者を応援したい)B賛成(情報として必要)。私も@に賛同します。それは業界を擁護するということではなく、法規制として義務化すべきかどうかという観点でみれば、義務として強要すべき内容ではないと考えるからです。原産地表示拡大賛成派の論理の中には、この食品表示の目的が食品の安全性・品質にあるという観点が抜けています。原産地の違いが安全性・品質に影響しているというエビデンスを示さず、表示拡大を求めるとの主張展開がなされていました。
表示拡大が行われた場合の影響・混乱は大きなものとなると想定されます。輸入品で問題が大きくなれば貿易障害ということで国際問題に発展するかもしれません。
もう1つはトランス脂肪酸の表示です。食品安全委員会の評価によれば、我が国のトランス脂肪酸の摂取量はそれほど多くないとの報告があります。ただし、栄養バランスが崩れている人は多く摂取する可能性があることが言及されています。だとすれば、この問題は表示の問題ではなく、食生活を改善させることだと考えます。含有量を表示されても消費者はそれをどう判断すればよいのでしょう。少しでもトランス脂肪酸が含まれているとそれを避けようとする人もでてくるかもしれません。かえって消費者の不安を増長することになりはしないか心配です。
3つめに消費期限、賞味期限に関して消費者庁で現在パブリックコメント募集中です。(4月23日まで)科学的・合理的な期限の設定が遵守されながらも消費者を不安にさせる事案(期限の設定根拠や期限日が不明、表示の貼り替えによる延長など、個包装への表示がない、期限表示と消費期限の違いなどの制度の周知が不十分)があるとのことで何らかの検討がなされるようです。この問題で重要なのは制度の見直しではなく消費者教育だろうと思います。
いずれにしても、政治主導でもよいのですが、我が国にとってよい方向性を示してほしいと切に願います。

(2010.4.20[Tue])

中国への乳・乳製品の輸出

先日、上海出張の際にスーパーマーケットに立ち寄ったところ、LL牛乳など日本製の乳製品もいくつか販売されているのを目にしました。食の西洋化が進む中国で、乳製品の消費が伸びており、日本からもいろいろな乳製品が輸出されているようです。
その乳・乳製品ですが、年明け1月1日から中国への輸出の際には衛生証明書が必要となります。輸出される場合、事前に自治体に証明書の申請を行うこととなります。(動物検疫の観点からの証明書は動物検疫所で手続きを行います。)
詳しくは、厚生労働省のHPをご参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/jigyousya/nyuseihin/index.html
(乳・乳製品の中国の基準については、上記URLの参考情報(2)の事務連絡の中に資料があります。)

(2009.12.28[Mon])

米のトレーサビリティ

我が国でトレーサビリティを義務付けられている食品は、「牛トレーサビリティ法」に基づく牛肉のみでしたが、平成22年10月1日から米も「米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律」によりトレーサビリティが義務付けられることとなりました。その背景はご承知のとおり、事故米の不正流通が発端となっています。
この法律の対照となるものは、米穀の他、米穀を主原料とする飲食料品(政令により規定:米粉、米粉調整品、米穀をひきわりしたもの、ミール、米こうじ、米菓生地、もち、だんご、米菓、清酒、単式蒸留しょうちゅう、みりん、加熱による調理又は調整したものであって粒状のもの)も対象となります。米粉を使ったパンや菓子などは対象とならないなど、対象範囲がわかりずらいことから、Q&Aにより具体的に示してほしいものです。
この法律により事業者に課せられるのは以下の2つです。
@受け入れ、出荷の取引に関する記録(名称、数量、年月日、相手方、搬入・搬出の場所、産地等)及び保存
A消費者への表示等による産地情報の伝達
(Aの施行は23年7月1日からとなります。)
事故米の流通の反省から、流通の透明性を図るためトレーサビリティを導入するということで@は分かります。では、Aは何のため?消費者への安心の提供ということでしょうか。トレーサビリティとは「生産、加工および流通の特定の一つまたは複数の段階を通じて、食品の移動を把握できること」とCodexで定義されており、これを踏まえれば、消費者に産地情報を提供することがトレーサビリティではないといえます。この法律が「米トレーサビリティ法」の略称で呼ばれるとなると、消費者への産地情報の提供がトレーサビリティだとの誤解を招くことにならないかと思うと、この略称には賛同しかねます。牛肉のトレーサビリティ情報は消費者にはあまり活用されていないように思いますが、米の産地情報は消費者にとってどの程度のニーズがあるのでしょうか。

「米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律」に関する情報は農林水産省のHPをご参照ください。
http://www.maff.go.jp/j/soushoku/keikaku/kome_toresa/index.html

(2009.11.17[Tue])


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