食品等の放射能汚染とリスクコミュニケーション

この度の震災により被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。被災地の復興と被災者の笑顔が戻る日が一日も早く訪れることを祈っております。

地震から2週間が経ち、首都圏では被災地を案ずる気持ちに加え、原発による計画停電、放射能汚染の不安の渦中にあります。
連日のように食品や水から基準値を超える放射能が検出されたと報道されれば心中穏やかではありません。
検査をすれば、それにつれて基準値を超えるものが見つかるのは当然のことですが、何だかどんどんひどい状況になってきているのではと思ってしまう人もいることでしょう。

これは食中毒のような「点」ではなく、環境汚染として「面」でとらえる必要があるのですが、政府の発表の仕方は「点」を追いかけているような感があり違和感があります。

直ちに健康影響はないといいながら、出荷規制や摂取制限となれば、危ないのか危なくないのかも消費者にとってはよく分からないのでさらに不安になるのではないでしょうか。

放射能汚染したものを食べ続けても大丈夫なのかということも不安の要因です。
ホウレンソウを毎日○グラム食べ続けなければ・・という説明がありましたが、私たちが食べている様々な食品が放射能汚染されているとして、それを毎日食べ続けてもどうなのかという質問には答えられていないのです。

先週より食品の放射能汚染の影響に関するリスク評価を行っていた食品安全委員会には、暫定基準値を緩めるべきではないとの
消費者からの意見が沢山寄せられたとのこと。厳しい基準を設定していたからといってこれを緩めることは容易ではありません。
食品安全委員会のとりまとめは玉虫色のものとなり、結局結論は厚生労働省に委ねることになってしまいました。

今後、出荷制限、摂取制限を解除する際にも混乱させないために、きちんと理解される説明が必要です。

基準値を超えたものばかりが報道され、不安を煽ることにつながっているという問題もあります。
検査をして基準値を超えていないという結果もでているので、
これらも含めて報道されるべきではないでしょうか。

消費者も生産者をはじめ食品関連事業者もみんな困惑しています。政府において、今こそきちんとリスクコミュニケーションをすることが求められています。消費者が何を知りたがっているのかを把握し、それに対する説明をしっかり行い、冷静に行動できるよう、政府の取組みが必要です。

(2011.3.30[Wed])

食品表示の行方

食品表示の所管が消費者庁に移管され半年が過ぎました。政権交代による政治主導の影響もあるのでしょうか。このところ、食品表示に関する制度がいろいろと動きをみせています。
1つは原料原産地の表示です。先月末に消費者庁が意見交換会を開催いたしました。意見の主張は大きくまとめると、@反対(原料切り替えなどで混乱するなど消費者にとっても利益はない。表示スペースがないなど)A賛成(国産品の産地をPRしたい又はそういった地元の生産者を応援したい)B賛成(情報として必要)。私も@に賛同します。それは業界を擁護するということではなく、法規制として義務化すべきかどうかという観点でみれば、義務として強要すべき内容ではないと考えるからです。原産地表示拡大賛成派の論理の中には、この食品表示の目的が食品の安全性・品質にあるという観点が抜けています。原産地の違いが安全性・品質に影響しているというエビデンスを示さず、表示拡大を求めるとの主張展開がなされていました。
表示拡大が行われた場合の影響・混乱は大きなものとなると想定されます。輸入品で問題が大きくなれば貿易障害ということで国際問題に発展するかもしれません。
もう1つはトランス脂肪酸の表示です。食品安全委員会の評価によれば、我が国のトランス脂肪酸の摂取量はそれほど多くないとの報告があります。ただし、栄養バランスが崩れている人は多く摂取する可能性があることが言及されています。だとすれば、この問題は表示の問題ではなく、食生活を改善させることだと考えます。含有量を表示されても消費者はそれをどう判断すればよいのでしょう。少しでもトランス脂肪酸が含まれているとそれを避けようとする人もでてくるかもしれません。かえって消費者の不安を増長することになりはしないか心配です。
3つめに消費期限、賞味期限に関して消費者庁で現在パブリックコメント募集中です。(4月23日まで)科学的・合理的な期限の設定が遵守されながらも消費者を不安にさせる事案(期限の設定根拠や期限日が不明、表示の貼り替えによる延長など、個包装への表示がない、期限表示と消費期限の違いなどの制度の周知が不十分)があるとのことで何らかの検討がなされるようです。この問題で重要なのは制度の見直しではなく消費者教育だろうと思います。
いずれにしても、政治主導でもよいのですが、我が国にとってよい方向性を示してほしいと切に願います。

(2010.4.20[Tue])

中国への乳・乳製品の輸出

先日、上海出張の際にスーパーマーケットに立ち寄ったところ、LL牛乳など日本製の乳製品もいくつか販売されているのを目にしました。食の西洋化が進む中国で、乳製品の消費が伸びており、日本からもいろいろな乳製品が輸出されているようです。
その乳・乳製品ですが、年明け1月1日から中国への輸出の際には衛生証明書が必要となります。輸出される場合、事前に自治体に証明書の申請を行うこととなります。(動物検疫の観点からの証明書は動物検疫所で手続きを行います。)
詳しくは、厚生労働省のHPをご参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/jigyousya/nyuseihin/index.html
(乳・乳製品の中国の基準については、上記URLの参考情報(2)の事務連絡の中に資料があります。)

(2009.12.28[Mon])


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食品安全コラム